こんにちは。リファラルリクルーティング株式会社の石川です。
リファラル採用を導入する上でとても重要なこと、それは導入初期に「小さな成功体験」を生み出せるかどうかです。実はリファラル採用は導入初期、つまりスタートダッシュがその成否を決めます。
今回は、中小・ベンチャー企業でリファラル採用を導入する手順を特に導入初期のスタートダッシュにしぼってご紹介いたします。
リファラル採用導入のNGパターン
リファラル採用を導入するときにやってしまいがちなことが「友人・知人の紹介報奨制度」を作成することです。紹介報奨制度とは、友人・知人を紹介して実際に採用が決まった際に社員に報奨金を支払う制度です。少し乱暴な言い方をすると、お金で人を動かそう!という考え方で設計された制度ですね。
しかし、この制度を導入して社員に告知し、紹介をお願いしても上手くいかないケースが非常に多いのです。それはなぜか。
理由①:社員が忙しく、紹介報酬制度が形骸化する
「社会的手抜き(リンゲルマン効果」という、人は集団で共同作業を行うとき人数の増加にともなって一人あたりの頑張りが低下する現象があります。
リファラル採用でも紹介報奨制度をつくって全体に告知するだけでは同じ現象が起こります。いかに会社と社長を好きな社員でも、会社全体へのお願いでは最重要ミッションとしてとらえることが難しく、「偶然、自社に合いそうな友人・知人と出会ったら、紹介しようかな・・・」というくらいの意識になってしまいます。リファラル採用の優先度が下がってしまうのです。
理由②:そもそも社員がどのように採用活動をすればいいのかがわからない
リファラル採用活動をしろと言われても、社員は人事ではないので、そもそも採用活動をどのように行えばよいかがわかりません。どんな人に話をすればよいのか、また友人に自社のことをどのように説明すればよいか、社員にとっては初めての経験となります。
よって紹介報酬制度をつくる前に「どんな人にアタックすればよいのか」「自社の魅力はなんなのか」「どんな風に誘えばいいのか」などを明文化して共有しておく必要があります。
理由③:お金がほしい人だけが動き、リファラル採用のメリットが享受できない
報奨金額を高く設定すればするほど、紹介してくれる社員の数自体は増えます。しかし、お金に釣られて友人・知人を紹介する場合、本当に自社で活躍できる・自社の文化にマッチした友人・知人を選んで紹介してくれるわけではなくなりますので、信頼性が高くマッチング精度が高いというリファラル採用のメリットはなくなります。
むしろ、会社・社長へのロイヤリティーではなく、お金が大好きな人からの紹介でくる人は、彼らと同じような価値観を持っている場合が多く、万が一採用してしまった場合、逆に組織の文化を壊してしまう可能性があります。
結局採用コストも高くつくので、大幅なコストダウンというメリットもなくなります。
以上3つの理由により、紹介報奨制度をつくり全体に告知するという導入方法ではなかなかうまくいかないのです。
また、リファラル採用は上手くいかなかったという認識が社員全体に広がってしまうと、社員がますます動かなくなります。その結果、リファラル採用の推進がますます難しくなっていきます。
ちなみに、弊社は紹介報酬制度自体を否定しているわけではございません!適切な金額設定でつくられる紹介報奨制度は、リファラル採用活動を頑張った社員の努力にちゃんと報いるという点で、必要な場合もある制度だと思います。(リファラルリクルーティング株式会社では、20万円以下の報奨金額設定をおすすめしております。)
リファラル採用導入の成功のポイント
それでは、中小・ベンチャー企業でリファラル採用の導入に成功するためには、どうしたらいいのでしょうか?まずは3つのポイントを押さえましょう。
①3つの前提条件をクリアする
リファラル採用には、そもそも成功するための3つの条件があります。
会社と社長を好きな社員がいる
1つ目の条件は「会社と社長を好きな社員がいる」です。
リファラル採用活動はそもそも会社と社長を好きな社員しかやってくれません。そのため、会社と社長を好きな社員が会社にいることが1つ目の前提条件になります。
こう書くとハードルが高い印象を持たれるかもしれませんが、もう少し正確に表現すると、
「会社と社長を好きな社員が最低1人以上いる」になります。
全社員が好きである必要はなく、リファラル採用活動のスタートダッシュを行うために最低1人以上いれば十分です。その1人からリファラル採用が始まり、その人の紹介で入社した人がまた次の人をリファラル採用してくれます。そうして、リファラル採用の輪をどんどん広げていけばいいのです。
リファラル採用導入のスタートダッシュでは、会社と社長を好きな社員だけで動き始めます。ここで名前が挙がる社員がリファラル採用を進めるコアメンバーになります。
嘘をつかない
2つ目の条件は、当たり前のことですがリファラル採用を行うにあたり「嘘をつかない」です。この前提条件がないと、社員は大事な友人・知人を自社に紹介しにくくなります。
会社の良いことも悪いことも包み隠さず正確に友人・知人に伝えることを、リファラル採用では大切にしてください。
社長が耳の痛い提案を聴く
3つ目の条件は、「社長が耳の痛い提案を聴ける」です。リファラル採用活動を進めていくと、社員の友人・知人からダイレクトに会社に対するフィードバック(言い換えれば改善提案)が出てきます。
例えば、「年収の計算式がよくわからない」、「成長できる環境だと思えない」とか
「人事評価面談の頻度が少なすぎると思う」などです。
こういったフィードバックを社長に話した際に、社長が聞く耳を持たずに頭ごなしに否定してしまう、場合によっては怒ってしまう・・・となると、社員はリファラル採用を進める気持ちになれません。
また、こういった提案の中には改善すれば会社の魅力が増すものも多く含まれます。
採用は本質的には会社間の魅力の勝負なので、この改善提案を受け入れ中・長期的には会社の魅力を向上させていくことも重要です。
以上の3つの前提条件をクリアして初めてリファラル採用は上手くいきます!
②社長の採用への本気度
リファラル採用は、社員に動いてもらう採用活動なので、社長がいかに本気で社員にお願いするかが成功のポイントになります。
社長に本気になっていただくためにも、弊社が支援させていただく場合は、採用戦略自体をリファラル採用中心にしていただいています。
場合によっては、人材紹介も求人サイト掲載もすべてストップし、リファラル採用のみにしぼっていただくこともあるくらいです。
③小さな成功からスタート
リファラル採用導入に成功するためには、前述のNGパターンでご紹介したようにいきなり全社展開はしないほうが上手くいきます。
まずは、会社と社長を好きな社員だけで6名くらいのプロジェクトを組み、社長がプロジェクトリーダーとなり強烈に推進します。
これで3ヵ月以内に1人以上のリファラル採用を成功させます。
この成功をもとに、少しずつ活動を広げていくことがリファラル採用導入の王道になります。
リファラル採用の導入手順~スタートダッシュ編~
5つの成功のポイントをふまえた上で、リファラル採用導入の最初の3ヵ月間、スタートダッシュをきめるための手順をご紹介いたします。
手順①プロジェクトメンバーの選抜
成功のポイント①でお伝えしたとおり、会社と社長を好きな人だけをプロジェクトメンバーとして選抜します。
動きやすさと意見交換のしやすさを考えると、メンバー数は6名程度が適切です。最初は多くても10名以下におさえるようにしてください。
会社と社長を好きであるという前提をクリアした人で、なおかつ今回採用したいターゲットに人脈をもっていそうな年齢・職務経験・学歴の人を選抜するとよいです。
手順②キックオフの実施
プロジェクトメンバーでキックオフを実施します。キックオフでは以下の項目を実施します。
リファラル採用の簡単な説明
リファラル採用をはじめて知るメンバーも多いので、最初に簡単に説明します。
リファラル採用にかける社長の想い
リファラル採用をはじめる目的や社長の本気度を熱く語ってください。
欲しい人材像のディスカッション
どんなマインドをもった人がいいか、どんな経験・スキルをもった人がいいかを話し合い、決めます。これを行うことで、プロジェクトメンバーが全員同じ基準で、友人・知人を紹介できるようになります。
友人・知人への「声かけの仕方」の共有
どんな風に声をかけたらいいのか、そこでどんな話をすればいいのか、このイメージがわかないと動けないメンバーもいます。ここで口説きマニュアルと簡単に作成し、共有することでメンバーが安心して動けるようになります。
アピールブックの目次決定と作成担当者決定
アピールブックとは「会社の全てを見える化」した冊子のことです。社員が友人・知人に自社を紹介するときの武器となる冊子です。キックオフではアピールブックにどんな情報をいれるべきかを話し合い決めます。
そのうえで、あらたに作らなければいけない資料を作成する担当者を決定します。
アピールブック作成のための自社の魅力の洗い出し
アピールブックには自社の魅力を存分に記す必要があります。そこでキックオフのメンバー同士で「自社の魅力は何か」について議論し、魅力を洗い出します。
人脈リストづくり
キックオフメンバーの友人・知人内で自社の欲しい人材像に近しい人のリストを作成します。
手順③アピールブックパイロット版の作成
アピールブックを最低限使える状態に仕上げたパイロット版を作成します。
これができれば、リファラル採用に向けてプロジェクトメンバーは動き出せます。
手順④アタックの進捗状況の確認とアピールブックの改良
あとは2週間から1か月に1回くらいの頻度でアタックし友人・知人に声をかけることの進捗状況の確認とアピールブックの改良をしていきます。
この手順④を愚直に回していけば、3ヵ月以内に1人以上のリファラル採用に成功できます。
手順⑤リファラル採用に成功したことを全社に告知
リファラル採用に成功したことを社内に告知し共有します。
この実績をもって、リファラル採用のプロジェクトに参加したいという人を募り、リファラル採用活動をだんだん全社に広めていきます。
そして最終的に全社に広がった際には、全員がリクルーターになっており、常に自社に合った最高の仲間が集まってくる最高の状況が出来上がるというわけです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
リファラル採用は導入に成功すれば、費用がかからず最高の仲間が集まってくる、最高の採用手法になります。そのためにも最初の3ヵ月、スタートダッシュが大切です!
今回の内容が少しでもみなさんの会社のリファラル採用導入の参考になれば幸いです。
それではまた!
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